清掃員さんとフェアリーガラ
09
「そんなことってあります!?」
夜の学園を足早に進む影がふたつ。クロウリーは風切羽のマントをひるがえし、腰ほどの長さのある杖の先を石床に打ち付けた。両開きの大きな扉が、軋む音を立てながらふたりを迎え入れる。トレインはクロウリーの隣をぴたりとついて歩きながら、歩き慣れない速さに汗を滲ませた。
いつもなら静まり返っているはずの夜間の校舎はどこかざわついていて、絵画たちも異変を感じているのか、落ち着きがない。こそこそと聞こえる話し声には「妖精」「あの女」と今問題になっている者たちの名前が混じっている。
クロウリーは一難去ったくせに湧いて出た一難を憂いて、包み隠すことなく深いため息をついた。フェアリーガラが無事終わってせっかく授業が再開できるというのに、新たなトラブルが起こるなんて誰が想像できただろうか。まさか、あの清掃員の女性が妖精の魔法にかかって、眠りから覚めないなどと。
明らかに嫌そうな顔をしているクロウリーの顔色をうかがいながら、トレインは言いにくそうに口を開いた。
「専門の教師陣も解析をしてくださっていますが、あまりにも古い魔術だそうで、すぐに解決するかどうか」
「はぁ、困りましたねぇ。それなら私が見ても分からなくないですか?」
「そう仰らず……」
学園長である彼が分からないと言えば、それはもう確実にお手上げである。外部の機関に助けを求めるしかないが、相手は未だに分からないことも多い妖精の魔法だ。解決できるかどうかは定かではない。
ただ一つだけ、希望もあった。
「話ではクルーウェル先生が原因となった妖精を“捕獲”したとのことで」
「捕獲!?」
クロウリーは爪先を押し付けるようにして急ブレーキをかけると、声をひっくり返して叫んだ。
数歩先に行ってしまったトレインは振り返り、廊下にわんわんと反響した声が消えるまで気まずく口を噤む。たっぷり間を空けて「ええ」と肯定すると、彼は頭を抱えた。
「私たちがあれだけ気を遣っていた妖精を──捕獲!? 女王に知られたらただでは済まないですよ!?」
「それはまったく、その通りで」
本人から直接聞いたわけではないが、クルーウェルが「妖精を捕獲した」とトレインは伝えられていた。それを誤解のないようにそのまま伝えただけだが、クロウリーはそれがショックだったらしく、青ざめて両手を震わせる。
「なんでまたこんなことに……。せめて妖精は丁重に扱って荒波を立てないようにしなければ」
さもなくば妖精の逆鱗に触れ、学園はめちゃくちゃになってしまう。これから妖精たちは後夜祭を行う予定で、長くこの学園に居座る予定なのだ。彼らは基本的には人間嫌いなため、仲間が捕まったなどと知られたら、どんな反撃をしてくるか分からない。小さな妖精だけならまだしも、今は世界中からあらゆる妖精たちが集まっているのだ。
まだ状況も確認できていないのにゲッソリと疲れ切っているクロウリーは、ヒトハとクルーウェル、そして妖精がいるという保健室にたどり着き、扉に手をかけた。
『──いい加減にしろ! この駄犬が!!』
はは、と唇から思わず笑いがこぼれる。
クロウリーは扉を指差して、隣で何とも形容しがたい顔をしているトレインを見た。
「これ、夢ですか?」
「……現実です」
***
話は聞かせてもらいました! と勢いよく入室した学園長は、ほとんど自棄の状態だった。それはランタンのガラス越しに言葉の通じない言い合いをするクルーウェルと妖精に対して「元気で結構!」と言うほどに。
学園長についてきたトレインはランタンに閉じ込められた妖精を見つけて渋い顔をすると「クルーウェル先生……」と呆れた。
「もう少し友好的な方法はなかったのですか」
「ないですね。彼も友好的ではないので」
ガシャン、とガラスを内側から蹴り上げて、妖精は激しい鈴の音で叫んでいる。これにはトレインも閉口するしかなかった。
「このふたり、ずっとこんな感じなんだゾ」
グリムが保健室の小さな椅子の上で腕を組み、疲れた声で言った。
あのベンチの上で正真正銘“眠りこけているだけ”だったヒトハを四人と一匹で保健室に運び込み、なんとか目を覚まさせようとしている間も、ふたりはずっとこうだった。体格差のせいでクルーウェルが大人げないように見えるが、妖精も妖精で従順なふりをしてランタンから出してもらうとすぐさま脱走を謀るのだから、もはやどっちもどっちである。
「それで、彼女は大丈夫なのですか?」
ふたりを和解させるのを諦め、トレインはベッドに横たわっているヒトハを見下ろした。不思議そうに首を傾けるのは、彼女が一見、すやすやと気持ちよく寝ているだけのようにも見えるからだろう。
「今は眠っているだけで、命に別状はないとのことです」
クルーウェルはヒトハの額に手を伸ばし、指で軽く前髪を払った。睫毛が震えたような気がしたが、何度目とも分からない勘違いである。
たまたま学園に残っていた古代魔術の教師に見てもらえたことだけは、不幸中の幸いだった。あまりに古い魔術であるがために彼らですら解決方法を見出せなかったものの、それが身体や精神を蝕むものではないことだけは分かったからだ。
それにどれだけ安堵したことか。どこか遠くに意識を飛ばして穏やかに眠り込んでいる彼女には、分からないことだろう。
とはいえ、いつまでもこのままでいるわけにもいかない。人の睡眠時間を超えるほど長く眠りについたとして、それが身体にどんな影響を及ぼすのか、誰も分からないのだ。
クルーウェルはそっと拳を握った。
もうこの学園には、これを解ける者はいない。──ここにいる妖精を除いては。
「持ってきたぜ! 翻訳機!」
保健室に飛び込んできた明るい声に振り返る。カリムは息を上げながら、片手に持っている物を高く掲げた。妖精との意思疎通を可能にするという翻訳機だ。
この翻訳機は、彼らがフェアリーガラに出る前、カリムが妖精を助けたお礼として作ってもらったのだという。教室でドローンを介して会場を見ていただけのクルーウェルは知らなかったが、オンボロ寮の監督生がその存在を知っていた。
カリムに続けてぞろぞろと保健室に現れたのは今日の作戦に参加していたメンバーだ。レオナは面倒そうな顔をしていたが、ぐっすり眠り込んでいるヒトハの顔を覗き込むと、眉をひそめた。
「間抜けなツラして眠ってんな」
「ぐっすりじゃないっスか」
ラギーはつんつんと頬を突き、固く閉じた上瞼を指で押し上げようとした。
「ブッチ、ステイ。了解もなく女性の体を好き勝手するんじゃない」
「はーい」
カリムはヒトハが静かにベッドに横たわっているのを見つけると、絶望感溢れる声で「ヒトハ! 死なないでくれ!」と縋った。後ろで見ているジャミルは「寝ているだけだろ」と呆れている。
クルーウェルは穏やかな寝顔を見下ろして、静かに肩を落とした。
これだけ騒がしくしていても、彼女はまつ毛ひとつ動かそうとはしない。せめて寝言でも言ってくれれば、少しくらいは安心できるものだが。
「アジーム、翻訳機を」
クルーウェルが赤い指先で促すと、カリムは持って来た翻訳機をその手に載せた。翻訳機と呼ばれているが、手に取ってみれば、それが鈴であることが分かった。
見事な金属細工だ。それなりの大きさがあり、鎖の先に持ち手がある。クルーウェルはそれを摘まみ上げ、妖精が入ったランタンに近づけた。
『──この! 毛皮の悪魔! 白黒おばけ! 出せー!』
「威勢がいいことだな」
『女王様が知ったら、お前なんか…………あれ?』
妖精はぴたりとガラスを叩く手を止めた。
『ああーっ! 翻訳機!』
小さな人差し指を突きつけ、妖精は叫んだ。クルーウェルが手にしているのは妖精の体ほどの大きさがある翻訳機だが、形状自体は妖精が使用するものと変わりないらしい。
やっと言葉を交わせるようになったことに気がつくと、妖精は発言に慎重になったのか、口を尖らせながら押し黙る。
「おい、他にも言いたいことがあるんじゃないのか? 今までどんな悪態を吐いたか言ってみろ」
「クルーウェル先生! 煽らないでください!」
学園長が慌てて割り込み、さっとランタンを離す。クルーウェルは「冗談です」と平然と答えた。ただあまりにも激しく罵声を浴びせてきたものだから、何を言っていたのか気になっただけだ。
クルーウェルは少し腰を屈めてランタンの中の妖精と目を合わせた。妖精は怯みながらもこちらを睨みつけてきたが、会話を拒否するつもりはないのか、クルーウェルの言葉をじっと待っている。
「お前はこいつに一体何をしたんだ」
クルーウェルがベッドで横になっているヒトハを指差すと、妖精は思い出したかのように顔を青くして、しゅんと肩を萎ませた。
『僕たちは妖精を二度も助けてくれた人間さんに、お礼をしようと思って……願いを叶える魔法の鏡を……』
「鏡?」
妖精はもどかしそうにランタンのガラスを叩いた。出せ、と目で訴えてくる。トレインが背後から「出してあげなさい」と言い、クルーウェルは仕方なく指を弾いた。
ひとりでに開いたランタンから飛び出した妖精は、四枚の羽をぶるぶると震わせ、ぐぐっと四肢を伸ばす。同時に金の粉が舞い、きらきらと輝いた。
彼は目の前に差し出した手のひらに小さな光を集めた。それは徐々に形を作り、最後は小さな手鏡の姿となった。
『これは妖精の女王様から預かった、三つの願い事を叶える魔法の鏡。そのうちの一つを人間さんにプレゼントするつもり……だったんだけど……』
妖精は『全部、使っちゃった』と肩を落とした。
全部……と、どこからともなく声が聞こえてくる。クルーウェルを含めた全員がすやすやと眠るヒトハに呆れた目を向けた。この安眠は、三つの願い事を叶える魔法の鏡によってもたらされたものらしい。もっとまともな使い道があっただろうに。
妖精曰く、彼女は二度も妖精を助けたのだと言う。一度目はバルガスキャンプ。クルーウェルも知る“バケモノ”との遭遇時に妖精を庇って坑道から脱出した。二度目は妖精が女王のティアラに飾る魔法石を運び出している時。天敵のカラスを追い払ったことで妖精たちの命を救った。
一度のみならず二度も妖精の命を救ったヒトハに、妖精たちはいたく感謝していると言う。
「カラスを追い払っただけで願いを叶えてもらえるなら、いくらでも追い払うんだけど」
エースが気楽な声で言い、生徒たちは頷く。トレインは目を吊り上げて、生徒たちを厳しく叱った。
「下心で人助けをしようとするんじゃない。心からの善行でなければ、彼らも礼をしようとは思わなかっただろう」
「そうっスか? やらない偽善より、やる偽善だと思いますけど」
しかしトレインのありがたい説教はラギーによって適当にあしらわれ、彼は頭を抱えた。
「私はどこで指導を間違えたんだ……」
「というか、カラスは我が校の象徴なので乱暴しないでください!」
違う方面で怒り出す学園長を横目に、クルーウェルは「それで」と話を戻した。
「願い事とは何だ? あいつがこんな状態になるのを願ったとでも言うのか?」
妖精は首を傾げた。
『実は僕もよく分からなくて。これ、なんて言ってるの?』
妖精はひゅんと宙に円を描くように飛んだ。羽から散った金の粉が、宙に金の輪を描く。その中に映し出されたのは、夕陽に照らされたヒトハの姿だった。彼女が手にしているのは妖精が見せてくれた魔法の鏡だったが、先ほど見たものとは異なり、光が溢れるほどに輝いている。
ヒトハはしげしげと鏡を観察していたかと思うと、ムッと眉間に皺を寄せて、それを覗き込んだ。人差し指で下瞼を引っ張り、濃く黒ずんだ目元を見ている。
──はー……明日、働きたくないな……。
堂々と働きたくない宣言をするヒトハの姿に、保健室にいる全員が注目していた。本人が目を覚ましていたら必死に隠そうとしたであろう、完全に気の抜けた姿である。
彼女は頬に手を当て「はぁ~」と重いため息をついた。
──いっぱい寝たい……。
──ずっと見ていたかったな、フェアリーガラ……。
すると突然、鏡は辺りを真っ白にするほどの激しい光を放った。同時に「ええっ!?」とヒトハの驚いた声が聞こえてくる。
妖精が見せてくれた映像はここまでで、それを見終えると、全員が全員、顔を見合わせた。
「これは……」
デュースが気まずく口を開いた。
「自業自得では……」
ジャミルが目を細め、苦々しく言う。
「願い事が叶ってよかったじゃねぇか」
レオナに至っては完全に興味を失ったらしい。
「いい夢の邪魔をするのは悪いですし、今日のところは解散ということで……」
「学園長」
やれやれと帰ろうとする学園長の肩を掴んで、クルーウェルは慌てて引き留めた。
「このままでいいわけがないでしょう。ナガツキのご両親に、学園長としてどう説明なさるおつもりですか」
「ヒトハさんは学園で夢をまっとうされました……ですかね?」
「無理がありすぎます」
押し問答をするクルーウェルと学園長を眺めていたエースは、突然ピンと人差し指を立てて「分かった!」とひらめきの声を上げた。
「これはもう、アレしかないでしょ!」
「アレ?」
グリムはエースの言う“アレ”が分からず、首を傾げる。エースは片手を拳の形にして大袈裟に咳ばらいをした。
「眠りから目覚めないお姫様を起こすのは、“真実の愛”って相場が決まってんの! よくあるじゃん、おとぎ話とかで」
何とも言えない顔をし始める大人たちに反して、生徒たちは新しいおもちゃを見つけてじわじわとやる気を取り戻していく。
「キスか……」
「キスねぇ……」
ジャミルもラギーも神妙そうな顔をしながら、肩を小刻みに振るわせ始める。
ツイステッドワンダーランドにある数多のおとぎ話の中でも、とりわけポピュラーな話である。子どもの頃に必ずと言っていいほど聞く寝物語で、絵本やアニメにもなっているのだ。何が何でも起きないお姫様は、王子様のキスで起きる。なぜか、不思議なことに。
エースはほとんど投げやりに言った。
「先生もヒトハさんも大人だし、今更勿体ぶることなくないすか? お互いキスなんていっぱいしてきたんでしょ? ぱぱっとやっちゃえばいいんですよ、ほら。もうオレたち眠いし」
「お前たちの真実の愛とやらは軽すぎないか?」
生徒のあんまりな物言いに、クルーウェルは呆れた。
そんな壮大な前置きがあるわけでもないのに、いきなりキス一つで目を覚まされては大魔法も大魔術も形無しである。第一、おとぎ話の語る“真実の愛”とやらの定義が曖昧過ぎる。真実とまで言うからには、簡単に発生するものではないはずだ。
「これはそんな不確かなものに縋るような話ではない」
「不確かでも他に手がないなら、やらないよりやったほうがいいんじゃないですか? 『魔法にはまだ解明されてないことがたくさんある』って、この前の授業で言ってたのは先生だし」
エースはクルーウェル相手に一息に反論してみせた。こういう時に限って、妙に口が回る生徒である。
「ほら先生、はやく」
クルーウェルは静かに青筋を立て始めた。エースを皮切りに、生徒たちは口々に「早くしろ」だの「うしろ向いてるから」だの好き勝手に言っている。カリムのように「先生ならできると思う!」とか純粋に言っているならまだしも、その他はただの面白半分の野次馬だ。さすがにトレインが「やめなさい」と口を挟んだところで、プツンと何かが切れる音がした。
***
フェアリーガラの手伝いをしてくれていたヒトハが何者かの魔法にかけられて眠りから覚めない、と聞いて、ヴィルはヨガの時間を切り上げて校舎に赴いた。呪いの類なら何か助けになれないだろうかと思ったのだ。駆けつけた頃にはもう真夜中で、薄暗い廊下の先にある保健室には煌々と灯りがともっている。
ヴィルはそこに駆け寄りながら、保健室の前にいくつかの人影があることに気がついた。
「アンタたち、こんなところで何してるの?」
そこにいたのはフェアリーガラのランウェイを歩いたメンバーと、オンボロ寮の監督生、エースにデュース。そしてグリムだ。
エースは扉をちらりと見やり、肩をすくめた。
「追い出されました」
「……はぁ?」
***
「しかし困りましたね。外部からでは手出しができないとなると、あとはナガツキさん自身に賭けるしかありません」
保健室に残った学園長は鉤爪を顎に当てて唸った。何とかしようとする意志はあるらしく、彼自身も魔法の解析と解除を試みたが、やはりうまくいかない。
妖精も魔法の鏡のことは“願いを叶える道具”という認識しか持っていないらしく、仕組みを理解しているわけではないのだと言う。彼は最初「女王に報告する」とも主張したが、学園長が引き留めたおかげで、これもまだ実行できていない。
「今は妖精たちを混乱させるわけにはいきません。せめて後夜祭が終わってからがいいでしょう」
後夜祭の間に人間側でやるべきことをやって、解決すればそれでいいではないか。今は春が来ることを優先させなければ。
学園長の提案に、トレインもクルーウェルも同意するしかなかった。この場ではどんなに大切な人間であったとしても、世界と天秤にかけてしまえば、その価値はどうしても軽くなる。
妖精は何か言いたげにしていたが、今は大人しくベッドサイドに座り込んでいる。
「『たくさん寝たい』『フェアリーガラをずっと見ていたい』と言っていたくらいですから、夢の中を彷徨っているのかもしれません。彼女は少し抜けていますが、馬鹿ではない。必ずどこかで気がついて、どうにかしようとするはずです」
「ですが、これは彼女の願いでもあるんですよ」
トレインが重い声で言うと、それにつられて空気はさらに重くなった。
彼の言いたいことは分からないでもない。これは彼女自身も予想外の事故かもしれないが、結局は自分で願ったことでもあるのだ。願ったことが叶ったのに、そう簡単に手放そうとするものだろうか。
しかしクルーウェルには確信があった。
「ナガツキがこの学園で働き続けるために何をしたか、トレイン先生はもうお忘れで? 現実を忘れて夢を見続けていられるほど、彼女は弱くはありません」
ヒトハがこの学園で働き始めたその日から、クルーウェルは誰よりも近くでその姿を見てきた。彼女が最も大切にしている学園生活を、この程度のことで手放すわけがない。
トレインは学園長と顔を見合わせて、厳しかった表情をようやくやわらげた。
「クルーウェル先生が仰るなら、そうでしょうな」
「ええ、彼ほどナガツキさんのことを知っている人はいないわけですし」
学園長はうんうんと同意して、くるりとクルーウェルに向き直った。
「やっぱり一回キスしてみては?」
学園長の提案に、クルーウェルは苦虫を嚙み潰したような顔で答えた。
「するわけないでしょう……」
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