魔法学校の清掃員さん
24 清掃員さんと休暇
舗装の甘いなだらかな道を行き、脇に茂る雑草の群れを器用に避けて、素朴で慎ましい門の前に立つ。最後に見た時よりもいくらか汚れが目立っているような気がするのは、久しぶりに見るからだろうか。
ヒトハは門を押し開けて「ただいま」と呟いた。誰の返事もない代わりに、どこからともなくワンと犬の鳴き声がする。
ここは極東にある極ごく小さな島国。栄えているともいないとも言い難く、取り立てて特徴もない、ヒトハの故郷だ。
「おかえりー」
玄関の扉を開くと、姿を見てもいないのに母親の声が遠くから飛んでくる。台所から馴染んだ香りが漂ってきて、ヒトハはほっと息を吐いた。
この極東にある小さな島国は、ナイトレイブンカレッジのある賢者の島とは建築様式も、生活も、食事ですらも大きく異なる。もう慣れたとはいっても、帰れば自然と心地よさを感じるものだ。
肩にかけた大きな鞄を背に回して靴を脱ぎ、家に上がったところで廊下の角からひょっこりと母親が顔を出した。そして「夜ご飯、食べるでしょ?」と一言言って、答えを聞く前に慌ただしく台所へ戻って行く。
「食べますよーっと」
ヒトハは誰も聞いていない答えを口にしながら、トントン、と階段を上り、迷わず自室の扉を開いた。ベッドも本棚も、学生時代のデスクでさえも埃一つなく、不在の間にもきちんと掃除がされていたようである。掃除は元々得意な方ではないが、母親は埃一つ許さないほど綺麗好きな性格だった。
「みんなどうしてるかな」
ふとデスクの隅に付箋だらけの魔法薬学の教科書を見つけて、ヒトハは学園のことを思い出した。自分がこうやって故郷でのんびりとしている間、いつものように授業に励んでいるのだろうか。
教科書をなんとなく手に取ってパラパラと捲ると、そこには夥しい数の書き込みがある。今となってはどれもこれも分かり切った内容だが、もし一年前に見たなら、きっと忘れてしまっていてほとんど理解できなかっただろう。ナイトレイブンカレッジでの生活は、確かに魔法士である自分を思い出させてくれるものだったのだ。
早くも学園に帰りたくなって、ヒトハは苦々しい笑みを浮かべた。帰りたくとも、一週間はこの故郷で過ごすことを決めている。
これからどうするのか、それを考える時間が欲しくて少し長めの休暇を取った。そのついでにホリデーで故郷に帰らなかったことが引っかかって、今度こそはと帰省を選んだのだ。
(結局、終わらなかった……)
思考の隙間を縫うように思い出すのは、あの日の夜のこと。
渡された魔法薬を飲めない自分に気が付いて、迷惑をかけてしまう前に終わらせなければと強く決心したはずだった。それなのに途中で意志が揺らいで、「もうやめたい」という一言が言えなかった。そして彼も恐らく、気が付いていながら知らないふりをした。
この魔法薬を用いた治療は、本来ならもっと事務的で、お互いに上司である学園長の依頼がなければ始めなかったことだ。大人であるからには感情で“やる”も“やらない”も決められない。
それなのにクルーウェルはヒトハに「どうしたいか」と聞いた。その答えが分からない。いつも自分で決めて歩んできた癖に、こればかりはどうしたらいいか分からなかった。
「ヒトハ、ご飯できたよ!」
階下から叫ぶ声が聞こえて、ヒトハは「はーい」と大きく答えた。
鞄と教科書を適当に放ってリビングに下りると、いつの間にやら帰って来ていた父親がダイニングテーブルの前で新聞を読んで待っている。「帰っていたのか」と素っ気なく言うが、カレンダーの今日に大きく赤丸が付いているのを、ヒトハは知っていた。
真面目で物静かな性分の父親に冗談を言ってもしょうがなく、「さっき帰ってきたよ」と答え椅子に腰を下ろす。そうしてヒトハは、ようやく夕飯にありつけたのだった。
久々に食べる実家の食事は魚の塩焼きに味噌汁に、と素朴ではあるが他国ではなかなかお目にかかれないものばかりだ。唯一納豆はリリアが持っていたが、あれは他国ではかなり人を選ぶ類のものである。どうせ広めるなら、この味噌汁が適当だろう。
お椀を片手に味噌と出汁の風味に舌鼓を打っていると、母親が手元を見て眉を顰めた。
「ヒトハ、ご飯食べる時くらい手袋外したら?」
「あ、うん」
母親がそう咎めるのを聞いて、ヒトハはようやく自分が手袋のまま食事をしていたことに気が付いた。ナイトレイブンカレッジの生活ではごく当たり前のことだったから、外そうとも思わなかったのだ。
箸を置き手袋を外すと、近くで激しく食器を取り落とす音と、母親が「はぁ!?」と叫ぶ声がした。
「ど、どど、どうしたの、これ!?」
「怪我、しちゃった」
「怪我ぁ!?」
母親はヒトハの両手を慌ただしく取ったかと思うと、傷痕をしげしげと眺めた。その様子を窺うように父親が身を乗り出して、なんだか泣きそうな顔をしている。ヒトハはその光景を、どこか他人事のように「珍しいものを見た」くらいに思っていた。
「これ、痛くないの? 治るの? 病院は行った? ナイトレイブンカレッジに勤めてるって聞いたけど、これは仕事で?」
「ちょ、ちょっと待って。説明するから」
矢継ぎ早に質問を投げてくる母親を制して、ヒトハは両手を素早く取り返した。視線から逃れるように、そっとテーブルの下に隠す。
この怪我のことと、こうなった事の顛末を話さなければならない日がついにやって来たのだ。
もうこれ以上は逃げない。それはクルーウェルの問いに向き合おうと決め、この家に帰ろうと決めたその日に決心したことだった。こうして少しずつでも胸に引っかかり続けるものを解消していけば、答えが見つかるかもしれないから。
ヒトハは自分でも段々と記憶が朧げになってきたあの日のことを思い返しながら、ぽつぽつと話し始めた。
仕事終わりにうっかり薬品で手を溶かし、居合わせた魔法薬学の先生に助けてもらったこと。そして残った傷痕を、その先生の作る魔法薬で治そうとしていること。
「はぁ、週に一度、魔法薬をねぇ……」
聴き終わり、呆れとも感心ともいえる声を上げながら、母親は椅子に深く凭れかかった。父親は驚きすぎたのか、先ほどから息をしているのかすらよく分からない。
「治るっていうならいいんだけど、でもほら、魔法でぱぱっと治せないかしら」
「お隣さんの息子さんが医者だって聞いたけどなぁ」
「違うわよ、お父さん。お隣さんの息子さんのお友達よ。あっ、お隣さんっていうのはあのポメラニアンを飼ってる――もう二代目なんだけど、そのお隣さんの」
あの人がああでこうで、と話が逸れ始めた二人の話を聞きながら、ヒトハは再び食器を手に取った。
「分かった、分かったから、今日はここまででいい?」
ヒトハはさっさと食事を終えると、食器を片づけて部屋に逃げ込んだ。それは決してこの怪我に引け目を感じているからではない。あの学園で過ごしたこの姿を家族に見せることに抵抗はなく、ただ、この問題を解決できるかもしれない策を提示されるのが怖かった。
(私は狡い……)
ヒトハは倒れ込んだベッドの上で固く目を覆った。
向き合わなければと思っているのに、あれも嫌だ、これも嫌だと我儘を言って子供みたいだ。でも、これまで続けてきた彼との日常を終わらせて別の方法で治った白い両手のことを想像すると、どうしようもなく胸が苦しくなる。クルーウェルにももう迷惑をかけることはないし、自分は早く元の姿に戻れて喜ばしいはずなのに。
ベッドの上で体を捩り、ヒトハは腰のあたりで主張するスマホを手に取った。ポケットに仕舞われていたスマホには、学園で帰りを待ってくれている友人たちのメッセージがいくつか送られてきている。
そのメッセージを一件一件開きながら眺める最中、ヒトハはふと指を止めた。それは必要最低限の事務的なやり取りしかしていない宛先で、連なる文章はメッセージというにはあまりに素っ気ない内容だ。それもそのはずで、用もないのに連絡をするなと言われている。
ヒトハは衝動的に指を動かし、彷徨わせた末にやめた。画面の表示を切ってベッドのスプリングに放り投げる。
たったこれだけのことでもう縋りたくなってしまう、臆病で我儘な自分を知られるのが酷く恐ろしかった。
故郷で過ごす日々はとても退屈だ。
生徒たちの騒がしさがない代わりに鳥の間抜けな声が聞こえるし、散歩をしようにも景色は代わり映えなく、見慣れているせいで多少風景の良さを感じても余韻すら残らない。たまに生徒たちから他愛のないメッセージが届いて、簡単に受け答えするくらいのものである。
極東に帰って数日、学園から離れた生活はこんなにも静かなものだったのかと、ヒトハは毎日のように驚かされていた。ここには突然喧嘩を始める生徒もいないし、鼓膜が破裂するかのような怒鳴り声の先生もいないし、楽しい笑い声もしない。それが穏やかだと思える瞬間もあれば、寂しいと感じることもあった。
帰りたい。けれど、こうして静かな場所で物思いに耽る時間も必要だと分かっていた。恐らく今自分に必要なのは諦めで、それを得るには少しずつ、根気強く自分を納得させていくしかない。大人なのだから、我儘ばかり言ってはいけない。これくらいひとりで解決できるようにならなければならない。新しい道を自分自身で選ばなければならない。
こうして出口の見えない迷路を、ヒトハはぐるぐると彷徨っていた。
「ただいまー」
今日の散歩も隣の家の犬を見たくらいで終わってしまったとダラダラ家に戻ると、今日は母親がテーブルの上にパンフレットや小冊子を山のように積んでいた。
「なにそれ?」
「あんたの手を治す方法、調べてみようかと思って。先生の手をいつまでも煩わせるわけにはいかないでしょう?」
母親は頬杖をついてパンフレットを眺めては「高いわね」と呟いている。治療に関しては気が進まないヒトハよりも、ずっと真剣に考えているようだった。
ヒトハは向かい側に座ってパンフレットを数冊手元に手繰り寄せた。皮膚科の病院から美容クリニック、怪しい魔法薬。スピリチュアル過ぎる魔法士のチラシはそっとゴミ箱に入れて、ぱらぱらと捲る。あまりの情報量の多さに頭がパンクしそうだ。
「どうしたの?」
「ううん」
早々に閉じてテーブルに伏していると、母親が少し驚いた様子で問いかけた。
「即断即決、即行動のあんたがそんなに悩んでるの、珍しいわね」
「そく……なに?」
思わず顔を上げると、母親は「今更?」と驚いたように目を瞬いた。
「魔法士養成学校に行くって決めた時も、大学に進むって決めた時も、パッと決めてパパッと実行しちゃったじゃない。大学落ちた後もすぐ就職先見つけて、いきなり家から出て行くし。手はかからなかったけど、真っ直ぐすぎてちょっと怖かったもんねぇ」
そう言いながら散らかったパンフレットを集めて脇に寄せる。
「それが人並みに悩みごと抱えてるなんて。一体何を悩んでるの?」
もう今日の調べ物は終わりなのか、肘をテーブルにつき、手の甲に顎を乗せて興味津々の様子だ。
興味本位の人に話すのは気が引けたが、とはいえ他に聞いてくれる誰かがいるわけでもない。ヒトハは解決しなくてもいいと割り切って、躊躇いながらも口を開いた。
「治療は長いし、先が見えないし、このまま先生に迷惑かけ続けたくなくて。でも、どうしたらいいか分からないから。……こんなに選択肢があるのに、選べないよ」
目の前に積まれたパンフレットの束は、今まで遠ざけてきた可能性そのものだ。一瞬でもそれを手に取ろうとしたことがあっただろうか。
――いや、選べなかったのではない。選ばなかったのだ。
矛盾したことを言っているのに気が付いたのか、母親は娘に似た目元を大きく丸め、そして楽しそうに細めた。
「ははあ、あんた、その先生に懐いてるのね。あんたを手懐けるなんて、先生ってばよほど面倒見がいいのね」
母親はヒトハの悩みに答えない代わりに、そんなことを面白そうに言った。話があちこちに脱線するのは悪い癖だ。
ヒトハは少しだけムッとして見せたが、それが余計に興味をそそったのか、身を乗り出して「その先生いくつ? どんな人? かっこいいの?」と一息に続ける。
「なんでそんなこと」
いいから、と声を弾ませる姿を見て気が付く。そういえば、この人もヴィル・シェーンハイトのファンだった。同じ男を応援する娘についに男の影を見つけて、勝手に舞い上がっているのだ。
「先生は……」
ヒトハは仕方なく口を開いた。
クルーウェルは自分よりいくつか年上で、雰囲気はかっこいいというよりは美しい。頭ひとつ高い身長で、いつも自分と話す時は首を少し曲げ、視線を落とすのだ。ナガツキ家には全く似つかわしくなく都会的で、身につけているものは高価で品がよく、クラシカルなものを好みながらも派手。仕事に忙殺されていてもどこか涼しい顔をしていて、かと思えば言葉の端々に棘を含ませ他人を犬扱いする、ちょっと攻撃的で意地悪な人だ。いつも自分の能力と審美眼に自信を持っていて、その力で誰かの背を押すことができる、教師に相応しい人。
すべてを語るのはあまりに恥ずかしく、ヒトハは一言だけ、
「お母さん、多分びっくりするよ」
と答えた。
すると期待が高まっている母親は頬を両手で覆いながら「うそ……今度写真見せて……」と興奮した様子で呟く。
「で、先生はあんたの治療のこと『迷惑』って言ったの?」
「言ってない……」
「じゃあなんで悩んでるのよ」
「私が他にも選択肢があるんじゃないかって言ったら、どうしたいか聞かれて。分からなくなっちゃった」
はぁ? と理解できないものを見たかのような声を投つげられる。
「いつもみたいに選びたい道を選べばいいじゃない。それってつまり、先生の治療、やめたくないってことでしょう?」
「ううん、でも……」
言い淀み、難しそうな顔をするヒトハを見て、母親はまどろっこしそうに続けた。
「先生がどうしたいか聞いてくれるってことは、我儘に付き合ってくれるってことよ。先生はどの方法が正解か聞いてるんじゃなくて、あんたがどうしたいか聞いてるの。どんな方法を選んでも受け入れてくれるってことじゃない」
本当に頭が固いんだから、と母親は大いに呆れ、ヒトハは落ちかけた視線を持ち上げた。
「先生は私の我儘を聞いてくれる……?」
「聞いてくれるわよ。だってそうやって大好きな先生と今までやってきたんでしょう? あんたの強情な性格も、甘えるのが下手なとこも、先生にとっては今更よ。嫌がられたら止めて、素直に謝ればいいの。――ああ、いいわねぇ、甘やかしてくれる男の人!」
お父さんも昔はそうだった、とブツブツ文句を言いながらもパンフレットの束を手に取り、椅子から立ち上がる。
「今度お母さんに紹介してね」
「無理……」
「盗ったりしないわよ、お父さんいるし」
「はいはい」
惚気とも取れるつまらない冗談を、ヒトハは適当に聞き流した。
「そりゃあお母さんもお父さんも、早く治って欲しいと思ってるけど。でもあんたもいい大人だし、どうするかは自分で決めなさい」
そして彼女は、優しい笑みをたたえて言ったのだった。
「失敗してもいいじゃない。だってあんたの人生、順風満帆じゃなかったけど、悪いことばかりでもなかったでしょう?」
じゃ、これはもういらないわね、と躊躇う事なくゴミ箱に突っ込まれたパンフレットの束。いるともいらないとも言っていないのに、そのあまりの潔さに急に目が覚めたような気がした。
ヒトハは椅子を蹴るように立ち上がった。
「お母さん、私、帰る」
***
いつも自分の信じた道を選んできた。すべてが上手くいったわけではないし、後悔もしてきたし、辛いこともたくさんあった。それでも遠回りの末に辿りついたナイトレイブンカレッジで、ずっと欲しかった魔法士としての自分の居場所を見つけて、ここにいたいと願い、それを勝ち取ったのだ。そんな真っ直ぐにしか進めない無茶な自分の隣にいつもいてくれて、手を差し伸べてくれたのは誰だったか。自分を信じて背を押してくれたのは誰だったか。
臆病で我儘な自分を見せるのは怖い。嫌われるかもしれないと思うと胸が引き裂かれるように辛い。それでも、嘘偽りのない自分を見せることに勇気を持たなければ。「助けてやる」と支え続けてくれた彼を信じなければ。
きっと、それが優秀な魔法士でもなく、秀才でも天才でもなく、センスの欠片もない自分が唯一彼に報いる術なのだ。
一着だけ持ち帰った制服に袖を通し、慌ただしく自室から降りてきたヒトハを見て、母親は可笑しそうに笑った。
「あら、なぁにその服? メイドさん?」
ヒトハは薄い水色の制服とエプロンを見下ろした。使い込まれたエプロンは真っ白とは程遠いが、それだけ多くの時間を共に過ごしてきたことを表している。
そういえば、まだ両親にどんな仕事か、ちゃんと伝えられていない。歴史ある名門校、その広大な敷地と校舎、すべての施設を未来ある子供たちのために清潔に保つ、そんな素晴らしい仕事であることを。
「清掃員の制服!」
ヒトハはそう答えて、玄関に一直線に向かった。持ち物はスマホと財布と、そして杖さえあればいい。ほとんど全部学園に残してきた。そこが自分の居場所だから。
「お母さん、荷物あとで送って! ナイトレイブンカレッジ宛!」
扉に手をかけて振り返ると、母親は「はいはい」と答えた。
外に飛び出せば庭を整えていた父親が驚いた様子で「もう帰るのか?」と少しだけ寂しそうにしている。
「うん! また帰ってくる!」
慌ただしく駆けて行った姿を見送り、父親は追いかけるように外に出てきた妻に「ヒトハはもう帰るのか」ともう一度問いかけた。
「そうよ。ヒトハはナイトレイブンカレッジで今すぐやることがあるの」
彼女は腰に手を当て、からりと笑った。
「あの子はきっとこれからなのよ。楽しみねぇ、お父さん」
その顔はもうずいぶん昔に自分が恋した、跳ねっ返りで強すぎる意志を秘めた、少女のような満面の笑みだった。
「学園長! 少し早いですが帰ります!」
『は――はぁ!? いや、そう言われましても、私、今オクタヴィネル寮でご馳走になっていて……』
「いいんですか? 私が学園内で毒殺されかけたって知ったら世間の人はどう思うか……」
『え……ええっ!? 分かりました、分かりましたから、もう! 闇の鏡を便利な道具としか思ってないんでしょうねぇ! ああ~! これだから最近の若い子は! 嘆かわしい!』
「ありがとうございます!」
あなた本当は性格悪いでしょう!? なんて小言を言われたが、それはこちらのセリフである。
ヒトハは極東の風を切り、ひたすらに走った。
向かうは賢者の島、ナイトレイブンカレッジ。愛すべき仔犬どもと、先生の元へ。
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